第152章 橘結衣は書道すらできない

「本当にありがとうございます、山内先生」

橘礼子は口元を押さえきれないほど笑った。「こんな好機、めったにありませんもの」

橘晴美が今回の全国書道大会で入賞でもすれば、将来は書道界で大きく伸びるはずだ。

「お気になさらず。晴美は私の唯一の弟子です。師匠として、将来のことを案じるのは当然でしょう」

山内航大は少し考えてから、言葉を継いだ。

「実は、私が推薦状を書かなくても、晴美はこの大会に自然と出場できたと思いますよ」

「……とおっしゃいますと?」

「今回の主催は書道協会です。全国から優秀な若手を拾い上げるため、いくつかの学校に出場枠を配ったそうで。私の知る限り、華南高校にも枠があ...

ログインして続きを読む